レビュー

それでも村上春樹がダメな人へ

「村上春樹ってダメ」という人に対して、 村上春樹の良さを伝えるのは案外難しいです。 他の作家だったら、弁護したり反論したりできるのですが、村上春樹の場合は難しい。ていうか、村上春樹の場合、好き嫌いというよりも「縁があるかないか」と言ったほう…

やさしい創造主と、僕たちの話? 〜「虫と歌」 市川春子〜

久しぶりに「すごいマンガを読んだ」という衝撃があった作品。先日、半透明記録のノトさんにお会いした時に貸してもらい、その日のうちに読破。 (ノトさん交えての女子会の様子は、半透明記録に詳しく書いていただきました。非常に詳しくリポートしてくださ…

ひとり村上春樹祭り

※あらすじをまともに紹介していないので、本を読んでない人には意味わかんなくてつまんないと思う。ネタバレもあるし。春樹好きじゃない人はスルーしてください。「世界の終りと、ハードボイルドワンダーランド」この話が一番好きかも。というか世界観がしび…

忘備録 いろいろ

どのあたりから何を見て、何を忘れているのかを忘れていた。この一か月はパソコンが壊れたりもしててネットから離れていたのだけど 映画は結構見たし、とにかくネットが見られない寂しさから本はやたらと読んだ。一日一冊、文庫本買って帰る日々が続いていた…

歴史でたどるあのモノガタリ 〜戦国時代編〜

さて、もうお忘れの方も多いとは思いますが、久々に昔のシリーズ引っ張り出します。戦国時代編は……。以前ならあんまり興味ない感じだったのですが、ここ一年は以下の2作品で認識変わりました。「センゴク」宮下英樹……天正記、桶狭間含む。一巻からじっくり…

記憶の整理をかねた、いろいろレビュー

ここ最近、と言いいつついつの話だよ。ということはさておき。 とりあえず見たり読んだり聞いたりしたこと。●バタフライ・エフェクト(2004年アメリカ映画) 年末にテレビの深夜放送で見た。 これぞ私の好きなSF、って感じの映画だった。とにかくタイムス…

今更なあ、と思うレビューその2 「しんぼる」

実は公開直後に見に行った。結構楽しみにしてました。うーーーん。これに関してはそんなに書くことがないので簡潔に。 面白くなかったです。完成度は高かったかもしれないけど、驚きがなかった。 驚きとか、意外性というところでは「大日本人」のほうが、よ…

今更なあ、と思うレビューその1 「1Q84」

村上春樹で今までの作品で一番好きなのは「国境の西、太陽の南」。 その次に「ノルウェイの森」。村上春樹について私なんかが語ることは今更ないのは承知だが、個人的に、彼が書きたいテーマというのはいつも「どんなにほかのことが上手くいっても、最愛の人…

志摩スペイン村に行くくらいの気持ちでアメリカに行ってきた その1

出発直前まで、あれこれ忙しくて旅行の準備がほとんどできないまま当日を迎える。ESTAは焦りつつも何とか期限内に申請、海外保険は出発ギリギリに加入。 着替えや化粧品はそのへんにあったものをとりあえずキャリーケースに詰め込む。ノートパソコンは使…

ずっと飢えているのに、何が欲しいのかもわからない 〜クルーエル・インテンションズ〜

深夜にテレビでやっていて、何気なく見ていた映画だけど想像以上に良かった。 映画として良い出来かどうかは正直わかんないんだけど、ストーリーやテーマが激しく自分好みだった。 悪魔のような魅力のある美少女と美少年。青春の鬱屈した愛憎、退廃的な生活…

etude for everyday objects 〜音と所作が人を満たす〜

すっかりご無沙汰してしまったので書くことがたくさん溜まってます。 まずは、7/25に行ったサウンドアーティストmamoruくんのイベント 「etude for everyday objects」のことから。http://blog.livedoor.jp/soundartist77/ mamoruくんのことをなんと説明すれ…

戻ってきたあああ! 〜ターミネーター4〜

いやぁ「ターミネーター4」面白かったです。実際映画館で観たのは、もう2週間くらい前なので、今現在のテンションはタイトルほどは盛り上がっていません(笑)しかも、映画としてどうなのかと冷静に聞かれると、たぶん「B級エンタメ映画」として面白い、と…

目が覚めてもブルーじゃない朝を取り戻せ 〜ずっとやりたかったことを、やりなさい〜

「ずっとやりたかったことを、やりなさい」/ジュリア・キャメロン著 菅靖彦訳 自分の好きなことが、ただ純粋に好きだった時代が誰にでもある。 心から楽しんで絵を描くこと、歌を歌うこと、人と話すこと、そして、文章を書くこと。しかし時が経つうち、ふと…

歴史でたどるあのモノガタリ 〜鎌倉・室町時代編〜

このへんの時代は……、面白いんだけど、改めて考えるとこの時代を舞台にしている作品って、あまり読んでいないことに気付く。 平家の没落、鎌倉幕府からさらに室町幕府へ。源頼朝とか義経とか弁慶とか、ドラマチックなのになー。史実とか、資料をもとにしたテ…

もうすぐ夏だし、蕪村の句でも見てみよう

最近、俳句と短歌の評論の仕事をしています。 (アートコミュニケーション発行「藝術百家」30号と31号(たぶん)掲載されていますhttp://www.artcommunication.jp/)それで、改めて俳句っていいな。と思ったのですが、どういう切り口で書けばいいのか分…

相変わらずの私とあなた 〜TRICK トリック劇場版2〜

どうしてもやらなければならないこと、やりたいと思っていることが山積みになればなるほど、人はどうでもいいことに向かってしまうものらしい。 いや、人はじゃなくて、私ね。 どうでもいい映画が悪いわけじゃない。世の中名作ばかりでも成り立たないものだ…

歴史でたどるあのモノガタリ 〜平安時代編〜

さて。いよいよ平安時代へ突入。 平安時代は言わずと知れたロマンあふれる名作ぞろい。 王朝文化っていいよね。教養と恋愛が文化を作っていた時代。優雅な毎日の裏には、血なまぐさい策略がはりめぐらされていたり、深い闇の中には魔物が潜んでいたり、そう…

日常という永遠の迷宮 〜スカイ・クロラ〜

DVDで鑑賞。近未来(?)の平和な世界。完全な平和を維持するため、人々は「ショーとしての戦争」を求めた。戦闘を請け負うのは、”キルドレ”と呼ばれる存在。新薬開発の過程で生まれた彼らは、思春期のまま心も体も年を取らない。寿命で死ぬことのないキルド…

ピカピカのその車は誰が受け継ぐ 〜グラン・トリノ〜

久々の映画館での鑑賞。いつものクリント・イーストウッド監督作品と同じく、ストレートな情熱と、優しい気持ちを見逃さない繊細さにあふれた作品だった。妻に先立たれた孤独な老人ウォルトは、他人に心を開くことができず、息子や孫たちとの関係もうまくい…

【再更新!】歴史でたどるあのモノガタリ 〜神話の時代編〜

※さきほど途中でアップした記事を更新しました。 いいタイトルが思い浮かばなかった。 歴史もののマンガや小説について語ろうと思ったのだが、書き始めると意外に数が多い。漠然と”歴史もの”とくくってしまうよりは、どうせなら時代別にまとめてみようという…

あなたとならば死んでもいい〜立川談春独演会〜

立川談春は、男だ。ただの男じゃない。昔気質のいい男。 彼が古典落語しかやらないのは、現代よりもお江戸の時代のほうが、自分らしく生きられると感じているからかもしれない。 昨年末のフェスティバルホールで行われた独演会に引き続き、サンケイホールで…

レビューか?レビューなのかもしれない

「自分というものは、どういう切り口で表せば一番鮮やかに見えるのだろう」ということを真剣に考えるべき、とは、アートディレクターの佐藤可士和氏の言葉。なるほど、それは確かに大切なことだ。だけど私にとってそれは何なんだろう? 私自身とまではいかな…

「パノラマ島綺譚」 江戸川乱歩

最近レビューばかりになってますが、とりあえず書けることから書いていこうと最近決めたので。 迷っているときは迷ってちゃダメですな。なんか答えが見えなくても、不安でも、何でもいいから書いてればとにかく気が治まるっていうのはある。 それはともかく…

【緊急】一人映画鑑賞会 「ブレードランナー」

何気なくテレビ見てたら、今から映画「ブレードランナー」やるみたいなのでせっかくなので独り鑑賞会やります。 関西の人は4ch見て!鑑賞会参加してください。 感想は、映画終わってから。または途中ちょこちょこ書き込みます。 - AM2:41 CM中。映像や…

新島八重 〜明治悪妻伝説 初代”ハンサムウーマン”〜 /歴史秘話ヒストリア(NHK)

新島八重には以前から興味あったんだけど、タイミングよくたまたまテレビで見たので。 同志社大学の創立者として知られる新島襄の妻、新島八重は当時としては型破りなほどに革新的な女性。武家の娘としての厳しさと、欧米的な独立心を併せ持ち、自分の意見を…

「黒塚 KUROZUKA」 夢枕獏

ネタばれしてます。 冒頭から中盤まではめっちゃくちゃ面白かった。 兄の追跡から逃げのびた先で九郎が出会った、不思議な美女、黒蜜。彼女と結んだ縁は、不老不死の命を彼に与え、一千年もの長い時間、彼をさまよわせることになった。 長すぎる生の中で彼は…

備忘録4月〜5月

●名短篇、ここにあり (北村薫/宮部みゆき編) 面白かった。北村氏のアンソロジーには今のところハズレがない。全部面白かったけど、特に印象に残ったのは吉村昭の「少女架刑」。解剖用に献体された少女が切り刻まれ、骨になるまでを一人称で語る。エロくて…

「くまとやまねこ」 文:湯本香樹実 絵:酒井駒子

少し前に書いた、「くまとやまねこ」をやっと購入しました。 立ち読みでパラパラ見たことはあったけれど、改めて読むと絵本とは言い難いほどのボリュームがあり、読み応えある濃い内容。 主人公のくまが、親友のことりの死に直面し、乗り越えるまでの物語。 …

まだ読んでない本レビュー

ここ最近、本の衝動買いがすごいよ。おい。ということで、買ったものの読まなかった、なんてことにならないためにも、買った本をリストアップしてみることにした。 ●「名短篇、ここにあり」 北村薫/宮部みゆき編 この二人が選ぶアンソロジーのシリーズ、何…

「ゆきがやんだら」 酒井駒子

まだ寒さが残っているうちに書いておきたいレビュー。 酒井駒子の描く子供の可愛らしい表情やしぐさの絵は、心をなごませると同時に、見る人にどこかせつない気持ちを呼び起こす。両親と一緒に団地で暮らす、幼稚園生の「ぼく」。 パパが出張でいない朝、外…