ずっと飢えているのに、何が欲しいのかもわからない 〜クルーエル・インテンションズ〜

深夜にテレビでやっていて、何気なく見ていた映画だけど想像以上に良かった。
映画として良い出来かどうかは正直わかんないんだけど、ストーリーやテーマが激しく自分好みだった。
悪魔のような魅力のある美少女と美少年。青春の鬱屈した愛憎、退廃的な生活に、救われることのない孤独。
うーん。いかにも一昔前の白泉社の少女漫画みたい。我ながら恥ずかしいけど、でもやっぱり好きだわこういうの。

原作はコデルロス・ド・ラクロの『危険な関係

親同士の結婚で、姉弟となったキャスリンとセバスチャン。
お互い表向きには名門学校の優等生で通っていたが、裏では悪魔のような企みをもって人を傷つけるのを何よりも楽しみにしていた。
ある日、セバスチャンとキャスリンは遊び半分で賭けをする。
賭けの内容は、まじめで清純な学園長の娘アネットを、セバスチャンが落とせるかどうかというもの。
しかし、予想に反してセバスチャンはアネットを真剣に愛し始め、キャスリンに賭けから降りることを宣言。
裏切られたと感じたキャスリンは、セバスチャンとアネットが幸せになるのを妨害するが……


セバスチャンとキャスリン。
二人ともどうしようもない悪人で、同情の余地もないにも関わらず、彼らの生き方には胸が締め付けられるような痛みを覚える。

”同類”だと認めたセバスチャンにさえ、結局は心を開けないキャスリンの孤独、そしてアネットを本気で愛したセバスチャンに対する怒り。
キャスリンの策略にはまって自らアネットを失うことになったセバスチャンの絶望。


何一つ、清らかではない。素直ではない。
しかし、たとえようもなく純粋な何かがそこにある。

セバスチャンよりもキャスリンの方が大物で、その悪女っぷりは見もの。もはや小悪魔じゃなくて本気の悪魔。
でも、ラスト以後の彼女は、あっさりと毒気が抜けて地味な女の子になってそうな気もする。

そういう意味では、あのラストはキャスリンに残されたただ一つの救いだったのかもしれないとも思った。