今更なあ、と思うレビューその2 「しんぼる」

実は公開直後に見に行った。結構楽しみにしてました。

うーーーん。これに関してはそんなに書くことがないので簡潔に。
面白くなかったです。完成度は高かったかもしれないけど、驚きがなかった。
驚きとか、意外性というところでは「大日本人」のほうが、よっぽど面白かったです。

ダウンタウン松本の魅力って、のけぞるような新しいものを作りながらも、リアルな悲しさとか寂しさの感情をともなっている、そういうものを作るところだと思うわけです。

そういう意味では、「大日本人」には、「そうくるか」という意外性と、なんとも言えない哀愁がありました。映画として成り立っていたかは別として、松っちゃんのファンなら充分ニヤニヤできる作品だったはず。

でも「しんぼる」は、映画作品としてはまとまっていたけれど、意外性と哀愁は全くなかった。それがたまらなく退屈でした。

いや、面白いところはそれなりにあったし、全部がダメとも思わないけど、やっぱり予想した以上のことが起こらない、というのは致命的かも……。
壮大なスケールのラストも個人的には寒かったです。

言いたいことは分かるけど、「個人の些細なアクションが、世界のどこかに作用する」というテーマなら、もっと松本人志らしい表現の仕方があった気がする。それこそ、長屋での人情ドラマとか、狭い空間での感情のやりとりにこそ真実があるんじゃないかなあ。

ちなみに私は、ヴィジュアルバムの「荒城の月」が大好きです。

でも、しんぼるを押したときの音(ホ、とかファ♪とかいう音)と、エンディングの音楽は良かったです。