ゆびさきのつぶやき

こんな一行を書き始めるのに意味なんていらない。
悩みもいらない。感動もいらない。テンションの高さも特には必要ない。
ただ、立ち止まって信号をじっと見つめるかのように、キーボードに向かえばいい。
自分のことにさほど興味がなくなってもいい。

部屋に入るためのカギがない。待ち合わせをするにも連絡はない。
マクドナルドに人影はない。

美味しいコーヒーが飲みたい。寝るのが遅くなってもいい。
国勢調査票をさっさと出さなければならない。シートは鉛筆で記入せねばならない。

雪は降ってない
雨も降ってない
風も吹いてない

優しい気持ちは悲しい
明るい気持ちは美しい

とりとめのない歌が、いつも聞こえてくるから
わたしはまだ、感動することと、怒り続けることを、やめない。