備忘録12月〜1月(映画とか本とか)

年末くらいから1月今現在にかけて見たもの、読んだもの

[舞台]
2008/12/25 
立川談春独演会」 於 フェスティバルホール


さだまさしがゲストで得した気分に。談志に弟子入りした前座時代の話はもっとすごい話がいっぱいありそう。メインの演目は「芝浜」。年末の話だし談春お得意の話なんだろうけど、なんかこう、もっと景気よく笑いたかった。お笑い重視の上方だからこそ人情話をセレクトしたんだろうけど、重い雰囲気のまま終わった気がする。芸はもちろん素晴らしかった。
フェスティバルホールで落語の独演会というのは史上初ということらしい。


[映画]
2008/12/31
「未来を映した子供たち」 於 梅田スカイガーデンシネマ


インドの売春街で暮らす子供たちに何がしてやれるか、NYから来た女性カメラマンは考えた。ここから抜け出すきっかけになればと、彼女は、彼らに写真を教えることにした……
ドキュメンタリー映画。子供たちの表情がいきいきと美しく、見ていて飽きない。子供たちが与えられたインスタントカメラで撮った風景はどれも魅力的だ。教育という援助は、子供にしてやれる一番の贈り物かもしれない。
写真を機に運命が変わった子供も、そうでない子供もいる。
それでも、あの瞬間に撮ったキラキラした風景や表情は残るのだ。


2009/01/15
「チェ 28歳の革命」 於 TOHOシネマズなんば


思ってたより分かりやすかった。が、キューバ革命についての基礎的な知識は必須。冒頭にちょこっとだけ補足説明があるが、何も知らない人には役に立たなさそう。
必要以上にドラマチックに演出することを避け、淡々とゲバラの軌跡を追っていくことにこだわった、ドキュメンタリーに近いつくり。確かにエンタメ要素もあるけど、ハリウッド的なストーリーの盛り上がりがあるわけではないので、全体には地味。これを全国TOHOでやるというのはなかなか快挙かも。
映画としての完成度は高いと思う。個人的には、国連でゲバラが演説するシーンがカッコよくて好き。あと、カストロ議長のファンなので、役者がそっくりさんでテンションあがった。しゃべる時の癖とかもたぶんそっくり真似してる。キューバ革命おたく(絶対いると思う)には受けがよさそうと思った。


[本]
「赤めだか」 立川談春
年末見に行った談春のエッセイ。17歳で立川談志に弟子入りしてからの落語人生を語る。天才落語家、談志と弟子との厳しくも笑える感動エピソードの数々。
談志みたいに、才能があって、怖くて、真剣で情のある人って、後何人くらい地上に残ってるんだろうと思う。師匠キャラというか。本気で人を叱り飛ばし、なおかつ本気で人から恐れられ尊敬される人。
人が何かを教える、何かを学ぶってすごいことだ。



エンディミオンの覚醒上・下] ダン・シモンズ
これにてやっとハイペリオンシリーズ読破。長かった……。
全8冊。未来の宇宙を舞台にした壮大なスペースオペラ
地球を捨て、宇宙に飛び出した人類はさまざまな星に適応し、移住していった。人工知能AIは自らの意思を持ち人間の支配から独立。人類とAIは別の種族として対等につきあうようになっていたが……。
ていうかあらすじ書くと長すぎるので書けない。とにかく8冊読み切った今、頭の中には人生を3つ生きたくらいの濃さで様々なイメージと知識と感動が渦巻いている。
ガスの星に生息する全長1キロの透明イカ型生き物とか、チベットの人たちが移り住んだ星、「天山」の風景とか、実際に見た気分になってるからね。
あと、グラッドストーンの生きてた頃のタウ・ケティ・センターとか、マーレ・インフィニトウスの海とか。
ほんとに無限と思えるくらいの想像力。世界が隅々まで細部にわたってつくられている。まさに天地創造。シモンズって神様じゃね?

あー、しかし。このラストはすごいな。
中編にあたる「ハイペリオンの没落」のラストは、まさに壮大な宇宙叙事詩って感じでスケールでかくて感動したんだけど、
完結編にあたる「エンディミオンの覚醒」のラストは、それにくらべれば、ごく小さなスケールの終わり方。キャラクター個人の感情に集約されているというか。
しかし、それがいいんだよなあ。
これを読むと、彼らが言う「オールドアース」に住める幸せを改めて実感できる。



[バイオ黙示録] 諸星大二郎
出てたのに、買ってなかったんですね。速攻で買いました。
キモくてノスタルジックなまったりした異世界
バイオテクノロジーの恩恵を受け続けた結果、植物と動物はまじりあい、さまざまな生き物に人の遺伝子が入り込み、人そのものにも……
生き物の境界がなくなり、命と命が混ざり合う。
一冊を通して世界観にブレがなく、傑作揃いの連作集。
バイオテクノロジーはそんなんじゃないとか、そんな突っ込みは無用。そんなことを言いたいんじゃないわけよ。


ガラスの仮面43巻] 美内すずえ
これも出てるの見つけて即買いました。
思えばこれも異世界だ……。連載始まって33年。私が小学校のころ読んだ「花とゆめ」では狼少女ジェーンの公演が終わったあたりでしたっけ。劇中ではおそらくそれから1年くらいしか経っていないはず。
もう面白いとか面白くないとか、そういうことじゃないです。(面白いけど)
もう終わりを見るまではあきらめられません。