淀屋橋の休日(更新)

kajikajitomomo2009-04-18

久々の淀屋橋集合。淀屋橋中之島界隈にお気に入りの場所が多いスポット。本日は(すでに一昨日だけど)お友達のノトさんと
待ち合わせ。彼女とはもう4年来のお付き合いで、時々一緒にお出かけをします。
どちらもあまり計画をしっかり立てて出かけるタイプではないので、会うといつでものんびりお茶をしたりぶらぶら歩いて話をしているだけで日が暮れてしまいます。
というかそれが楽しいのです。
面白いことはあってもなくてもいい。目に映るものについて語り、思ったことを言葉にすれば、どこにいても発見はあります。

大阪市役所横の公園で待ち合わせて、図書館の脇を通り抜け、公会堂方面へ何となく歩き出す。桜はすっかり散ってしまい、新緑が目に眩しい季節になりました。春が過ぎると、光と影のコントラストが少しづつはっきりとしていきます。初夏は私がもっとも好きな季節です。特に、木立の影が地面に揺れるのを見ると時間を忘れてしまいます。


ちなみに私は、男性と出かける時は一応女性らしくエスコートしてもらいますが(単に全部おまかせするだけ)女性の友達と出かけるとなぜか自分がエスコート役をしなきゃ!と焦ってしまうヘンな癖があります。とは言え大したことはできないのですが、今日行き先として提案したのは”東洋陶磁美術館”と”中之島大阪城めぐり水上バス”。
時には、目的を決めて行動するのもいいでしょう。


中之島のバラ園目当てで北浜まで歩いてきたものの、残念ながらバラ園は工事中。下調べしてないとこういうことになりますが、私たちは平気。そのまま足を伸ばして雲州堂へ。ここは町屋を改造してつくったカフェです。蔵を改造したライブハウスとしても有名で、数年前にお芝居の公演のために舞台を貸してもらったことがあります。ここでお昼ご飯を食べてまったり。店長は数年ぶりにもかかわらず私のことを覚えていてくれました。声をかけてもらえると素直にうれしい。また何かやりたいと思えます。


食後は東洋陶磁美術館へ。陶磁器専門のこの美術館、なかなか見応えがありました。もちろん陶磁器のよしあしなんか全く詳しくないですが、すばらしいものは誰が見ても分かるレベルにすばらしい。ため息の出るような作品がいくつもありました。中でもすばらしいのは青磁器。白磁青磁の違いなんて今まで意識したこともありませんでしたが、何ともいえないなめらかな青緑色の器、描かれた美しい花鳥模様はまさに神業。壺やお皿を大金をかけて集める人の気持ちが少し分かったような気がしました。
さすがに触ることはできなかったけれど、陶器とかガラスとか、なめらかで硬質な素材のものって好きです。硬くて冷たいけれど、金属とは違ってどこかあたたかみがあって人の肌になじむ感じ。
当日は浅川伯教という人のコレクションが特別展として展示されていて、この人は大正から昭和の初期にかけて韓国の陶磁器の研究をしていた人のようでしたが、ある茶碗についてのこの人のコメントが印象的でした。「修行を積んだ高徳な老僧のようである」。それは真っ白で、どっしりとした高貴なイメージの器だったのですが、まさにその言葉通りの形をしていました。
その人は他の作品にもいくつか面白い文章を残していて、生前の人柄が想像できました。人が死んでも、言葉は残る。しかもその言葉に魂があれば、全く専門外の人間の心にも時には届く。
私には器の品評はできなくても、その人がどんなにかそれらの品物を愛したかということは理解できます。


美術館をじっくり堪能した後、今日のもう一人の参加者、ユキちゃんと合流。彼女は一緒にネットラジオをやっている友人です。いつかノトさんに引き合わせたかったので、急遽呼びつけてしまいました。急なお誘いに応じてくれてありがとう。
三人でお茶をした後、水上バスのりばへ。
思ったとおり、意気投合してすぐ仲良しに。しかしここで言っておきたいのは、三人とも決して「誰とでもやっていける」タイプではないということ。どちらかというと全員頑固。でも、自分が好きなもの、感動するものに対しては素直なんです。
なので、私は友達でいられます。同じものに感動する同志に対して、変な壁がないところがいい。心を許し合える仲間にはそう簡単に出会えるものじゃないと分かっているからこそ、いったん出会ったら躊躇はしたくないです。
私はいつでもそうありたいし、同じように思ってくれている人たちが好きです。仲良くなれる確信があったら、いきなり好きなものの話したいじゃん。探り合いとかしてる場合じゃないし。
私は他の運はさておき、自分の人徳以上にすばらしい人に出会う運だけは持っていると思うので、ぴんときたらすぐに手を出すことにしています(笑)


水上バスは、しばしの協議の結果、大阪城まで乗ることに決定。船着き場の混雑を見て、多くの観光客が乗っていることに驚きました。とは言え私たち三人が乗ったのはすでに最終便で、乗り込んだ人は少なかったです。
川面から、大阪のビル街を眺めるの新鮮な気分。しかし、地下鉄やバスなど、陸路が充実する前は、この水路が大阪の発展の要となったはず。川の上を野菜を積んだ船が行き交い、市場へ向かっていたのはほんの百年かそこらの昔でしかないのです。今も水路は現役で、観光の船の他にも、思いの外多くの船が、橋の下や川岸に泊まっているを見ることができました。


水上バスに乗ってしばらくすると、ユキちゃんが指さしてわあわあ言うので見てみれば、川岸に、色鮮やかな夜店が建ち並び、人だかりが出来ているのに。そういえばここは造幣局近く。桜宮の通り抜けだと気づきました。
川から眺めるお祭り騒ぎは何だか遠い国を見ているよう、というと大げさですが、ちょっとした「彼岸」ですね。
あの世から現世を見るとこんな感じだろうか、とちょっと思ったりもして。


三人で、小説の話、絵の話、仕事の話、人生の話、色んな話をしました。女性三人が集まっておいて色恋の話が全くでなかったのは、多少どうかとは思いますが。

ともあれ、あまりに楽しい休日だったため、次の日が少々寂しくなってしまったくらいです。毎日川下りするわけにはいかないので仕方ありません。
今日は晴れた空を見上げて、一人でため息ついてぶらぶら歩いておりました。
また行きましょうね。