ETV特集 松井冬子

もっと思わせぶりなタイトルにしようかとも思ったけど、後で自分が見た時に意味分からなくなりそうなので普通に。

ついさっきやっていたNHK教育ETV特集日本画家の松井冬子が出ていた。彼女は主に女性をテーマにして日本画の幽霊画などの技巧を使って描いてる作家。作風は死体とか内臓とかをリアルに描くのが特徴で、グロテスクな耽美というか。

番組では彼女のテーマ、女性性と痛みについてその核心に迫るというものだった。

女性が女性をテーマにして作品を作る、というか松井氏の絵は自分のことを常に書いていて、あくまで個人的。そしてその生々しさこそが魅力になっている。

本人もそれを意識していて、より女性である自分を全面に出していて、ビジュアルにも気を使っているのが分かる。
基本的にそういう姿勢の作家というのは苦手、というか避けていた。

何かを表現するとき、中性的であるべきかなと思っていたから。
しかし、今日番組見ていてちょっと認識が変わった。
松井氏の絵は確かに凄いんだけど、彼女の絵うんぬんではなく、彼女の姿勢というか、迷いのなさに、最初は「あー、イタイな、なんでそんな女とか痛みとかそんな言葉使うんかな」とか思ってたんだけど、ふと

何で私、より女性っぽいものがダメって思ってたんだっけ?と。
いや、むしろ好きだけど。という。
いつからか覚えてないけど、いつのまにか女の情念とか女のサガみたいのを直球で表現してるものを、否定していた気がする。つうか、気のせいじゃなくしていた。

何でかという答えは明確で、好きだからこそ後ろめたさがあったから。
それってまさに、松井氏の描く、「男性への恐怖と憎しみとコンプレックス」じゃね?いや、そこまで激しくないけど、子宮を取り出してる絵を描いたりはしませんけど。

しませんけど、好きで女に生まれたわけじゃねーよ。というくらいの怒りはあったな。自分にも。

上野千鶴子が彼女の絵について、「女性の痛みとして描かれた痛みは、飽くまでも女性の痛みとして、ジェンダーの痛みとして描くべきで、”人間の痛み”という形にぼやかしてしまうべきではない」というようなことを言っていて、まったく同意した。

とは言え、いきなりそんな系(どんな系?)に変わったりはしませんが。

あ、もちろん表現についてだけのことで、個人的に女であること悲観してたりもしてません。楽しんでおります。